江氏インタビューのために訪れた「台北世界貿易センター」は、台湾経済の中心的存在で国際的な展示会も多く、コンピューター関連の「COMPUTEX
TAIPEI」などは日本のメディアでも取り上げられる機会が多い。取材時にはちょうどエキシビションホールで展示の設営が行われ、ホールを取り囲むようにして多くのメーカーや貿易会社のオフィスが軒を連ねていた。ここが各社のショールーム兼商談の場となっている。
「実は、ここはもともと兄のオフィスなんです。私の会社は宜蘭縣にあって便が悪いので、台北の拠点としてここを一緒に使っているんです」
宜蘭縣は台北縣に隣接する自然の豊かな都市で、そこで開催されたセミナーで出会い意気投合したメンバーが中心となり、会社を興した。
江氏自身は1974年生まれの31才。若いメンバーで頑張っている点をアピールしてほしい、と強調する。プログラマー、セールス担当を中心とした4〜5人のコアメンバーで業務を進めている。
「会社をはじめた段階では、幅広く企業のウェブサイト構築を受けて制作していました。台湾デザートを扱っている会社のサイトでは日本語サイトも制作しましたよ」
オンラインでPCの基盤・パーツを販売している兄の会社のサイトも制作・運営している。
その後仕事を広げるうちに、不動産屋のサイトがいくつか集まってきた。クライアントはそれぞれ自社サイトの構築を依頼してくるが、利用者にとっては不動産屋ごとに情報が分散していて非常に使いにくい。そこに着目した彼らは各社の不動産情報を横断的に検索できる仕組みを作りあげてしまった。
「それから半年間で、われわれは台湾全土から300件の加盟店を集めました」
江氏が自分たちの若いパワーを強調する根拠はここにある。
建物、土地から賃貸物件まで、細かい条件を設定して検索が可能で、結果は写真付きで一覧表示される、という使い勝手のよさがこのサービスのセールスポイントだ。物件情報は各不動産会社が直接入力するため、常に最新情報を提供することができる。江氏の会社では年間の広告料を各社から得てシステムのメンテナンスを行う。運営や売り上げの管理は各社に任せ、契約成立時の仲介料は取っていない。
彼らのサービスにおいても、同業職種が多数集まることによって生まれるメリットが最大限に活かされている。検索結果の表示画面には各社のリンクバナーが必ず表示され、互いに情報を参照しやすい仕組みになっている。ネット上では単独で頑張るより連携することが成功につながるというシナジー効果が、ここでも実証されている。
この不動産検索サイトをはじめてから個別のウェブ制作はほとんどやっていないという。ネット上の情報サービスとしては、旅行情報やホテル予約などにもシステムの応用は出来るのではという問いには、「台湾ではどの分野も既に先発のサービスがあって、なかなか参入は難しいでしょう」と語る。
「実は不動産情報検索の分野でも、既に5年の実績のある先発のサービスがあって、規模的には我々のサイトはNo.2なんです。でも我々には半年でここまでサイトを育て上げた自信があります。当面はこの分野でトップを目指すことに集中して頑張るつもりです」