漫画のヒーローがアニメ化されるのは、米国でも日本でも昔からよくあることだ。スーパーマン、バットマン、スパイダーマン、その他数多くのヒーローが米国で「ホップ、ステップ、ジャンプ」している。そして日本アニメの大半は漫画が原作だ。実際、はじめて漫画からアニメ化されたスーパースター、鉄腕アトム(海外ではアストロボーイ)は、四十年前に米国ではじめて放映された日本アニメでもある。
米国進出を狙う少年ジャンプが直面している問題はまさにそこだーーどうすれば従来の流れを覆し、のっけから生き生きとしたアニメを見てしまっている米国読者に日本の漫画を売りこむことができるのだろう? 少年ジャンプのウェブサイト(
http://www.shonenjump.com)を見てもその答えは見つからない。このサイトは、ミニサイトと呼ばれる程度のもので、サンフランシスコにあるViz Communicationsで制作されている。同社は米国向けに再構成をおこなっている。
このサイトの制作者がネイティブであることは一目瞭然だ。それはまず、非の打ち所のない英語に反映されている。文法、スペリング、用法上の誤りがないだけではなく、直訳調の硬さや不自然さがまったくない。また、デザイン自体も日本的ではなく、アメリカ人うけするものだ。日本のウェブサイトでアメリカ人うけするものはあまりないので、これも評価するべきだ。さらに全体的にシンプルで、ナビゲーションも簡単に出来、ユーザー・インタフェースの見地からも悪くない。
では、なにがいけないのか? ネイティブだけでは対応しきれないコミュニケーションやマーケティング面での初歩的な問題を含め、いくつかの点が挙げられる。
問題その1:彼らはいったい何者なのだろう?
少年ジャンプへのコメント欄等を掲載した読者アンケートのコーナーはあるが、編集スタッフの連絡先がなく、更新情報やニュースの枠もない。これは、マスコミ取材を希望するのであれば、大問題である。特にまずいのは、グループ企業の紹介や少年ジャンプのサイトでは手に入らないニュースや情報が見られるViz Communications (
http://www.viz.com)へのリンクがないことである。親へのリンクがない、みなしごのミニサイト。これでは彼らが何者で、誰と連絡をとればいいのか、自力で調べないかぎり見当もつかない。
問題その2:商品はどこ?
Vizは明らかに米国ケーブルテレビで既に放映されているドラゴンボールZや遊戯王の人気にあやかろうという魂胆だ。サイトの目玉はこうした人気作品を強調したインタラクティブ・パネルで、米国版ジャンプに掲載中の漫画や作者を紹介している。よく出来てはいるが、ごく簡単な概要とコメントに主人公のスチール画像が一点あるのみで作者の略歴もあじけなく人柄が伝わってこない、物足りなさが残るものである。
ほかになにが足りないか? 雑誌だ! レイアウトや記事の見本もなく、作品をフィーチャーしたダウンロードの枠を除けば、ティーザー広告の類も一切ない。米国大手コミックサイト、Marvel Entertainment (
http://www.marvel.com)やDC Comics (
http://www.dccomics.com)等は、なにからなにまで見せてほしいという読者の要望をよく心得ている。Marvelのサイトには、"dotComics"という巧妙にデザインされた枠があり、フラッシュ動画のブラウザでページをめくり、作品によってははじめから最後まで見られるようになっている。少年ジャンプにサービス精神というものはないのか?
問題その3:面白みはどこ?
すでに述べた問題点ーー見る側とのやりとりの場の少なさ、画像や情報量の乏しさーーを総合すると、このサイトには面白みがなく、再度アクセスしようという気が起こらない、ということだ。漫画は楽しく、わくわくするもの。売る側はこのことを訴えなければならない。
結論:
基本的なデザインはよく出来ている。ただ、地味で想像力に欠ける。米国にジャンプを売りこみたいのであれば、目標達成への道のりは長い。私だったら、Marvelのサイトを念入りに研究するだろう。商品だけではなく、米国コミック市場の現状について驚くほど多くを学びとることができる。ただ、アニメのように歓迎されるかどうかは保証できないが......
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