精密機器業界は厳しい局面を迎えています。最近発表されたコニカとミノルタの戦略的経営統合もそのあらわれでしょう。日進月歩の技術開発に各社がしのぎを削る業界で、キャノンは常に好調を維持し、特に海外での成功には目覚しいものがあります。そこで、同社のウェブサイトをチェック。成功の秘訣が隠されているかもしれません。
キャノン英文サイト
せっかちなユーザーにはおすすめできないウェブサイトです。巨大な多国籍企業のサイトというのは、概して守備範囲が広く様々な情報を掲載しなくてはなりません。キャノンサイトも例外ではなく、事業展開する全地域のマーケット、数々の商品紹介、その他プレスリリースやIRなどの会社情報を掲載しています。
しかし、サイト全体として情報を巧みに提示しているとは言いがたいサイトです。メインページ(
http://www.canon.com)には項目がずらりと並んではいるものの、一体どこから手をつけてよいのやらわかりづらいレイアウトです。(デザインもグローバルサイトの入り口としてはやや古く、退屈です。)
また商品に関する情報収集のためにサイトを見るユーザーは多いので、商品情報はもっと見つけやすくするべきです。既存サイトでは、まず地域を選び(地域の選び方も、メインページの中心に世界地図を表示する形にした方がユーザーフレンドリーでしょう)、次に選択した地域のサイトのナビゲーションに従って進みます。しかし、ナビゲーション方法が地域ごとに異なっており、デザインの統一性のなさに戸惑います。これも規模の大きなウェブサイトにありがちな問題で、それぞれのページがまるで違う時代の地層のように重なっているのです。言い換えれば、サブサイトの作成に、異なるデザイナーが違った時期に各々で仕事内容やサイト目的を解釈、または想定顧客層をたてて制作に取り組んでいるという背景が反映されています。ちなみにキャノンと肩を並べるような他の大企業は、より統一感のあるウェブサイトでメッセージを発信しています。これはブランディングの上で非常に重要なことです。
次にキャノンUSA(
http://www.canon.com)のサイトを見てみましょう。ここでは、一般消費者向け、オフィス用、産業用と3つの選択肢から商品を選ぶようになっています。それぞれの製品のページ、特に消費者向けの各商品のページまで行くと、ようやく「キャノン」らしいキレのよさが画面にあらわれてきます。
一部に使われているフラッシュアニメーションは非常に独創的で、見た目が面白いだけでなく複雑なコンテンツをうまく処理しています。例えば、デジタルカメラの機能、カメラ内のソフトがコンピュータープラットフォームにどのように対応するかが分かるようになっています。その他、スキャナのページでは好きなモデルを3点選んで機能を比較できます。すべての製品に関して必要な情報(機能、スペックなど)が網羅され、画面構成もなかなかです。(残念なのは、カメラの価格が出ていないことです。スキャナについては参考小売価格まで載せているのに、何故でしょうか。価格は消費者が購入を考える際に最も重要な情報の1つなので、掲載するべきでしょう。)
結論:
ウェブサイト全体の統一性についてはC+の評価ですが、個々の商品のプレゼンテーションはA。上級機種のカメラのページで使われているフラッシュアニメーションの緻密なプランニングと素晴らしい仕上がりは、さらに高く評価したいところです。ユーザーのニーズにもう少し配慮すれば(ナビゲーションの使いやすさ、価格情報など)、このサイトはキャノンの業績にふさわしいものになるでしょう。
補足:
フラッシュアニメーションはユーザーの関心を喚起し、複雑な双方向データを表示できる素晴らしい手法です。ただ、デザイナーは今後もユーザーが使う回線の容量を考えなくてはなりません。最近の調査によると、米国のインターネットユーザーのうちブロードバンド利用者は30%未満です*。DSLやケーブルモデムなら、フラッシュはその名のとおり(flashには「一瞬」の意味があります)あっという間に表示されます。しかし私は古い58kモデム(まだこれが主流)を使っているので、D-60デジタルカメラのフラッシュ使用のデモをダウンロードする間に、お茶をいれて飲んでしまいました。たとえ待つ価値のある情報であったとしても、これを5分間も待っていられるほど気の長いアメリカ人はほとんどいないでしょう。
*データクエスト(Dataquest)による2002年11月の調査では28%、ジュピターリサーチ (Jupiter Research)による2002年10月の調査では21%。
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