▼ ブランド感が求められる百貨店サイト
百貨店のウェブサイトには、現実の店舗と同様に、ブランド感と顧客サービスが求められています。歴史ある高級百貨店であっても、ウェブサイトが使いづらく、粗雑なデザイン処理がなされていると、顧客は百貨店そのものに悪い印象を抱きかねません。
英米の大手百貨店サイトをリサーチすると、例えば、英国の
Harrodsは伝統と信頼感、米国の
JCPennyであれば庶民的なカジュアル感と、それぞれにふさわしい演出がなされています。
その点、日本の大手百貨店サイトは、各店がどのような格付けをされていて、どんな顧客をターゲットとしているのかが、非常に分かりにくいと言えます。
三越、
伊勢丹、
西武百貨店、
大丸・・・・・各サイトに予備知識ゼロの外国人になったつもりでアクセスしてみて下さい。あなたの条件にあった百貨店はどれか、直観的に選べますか。
また、
三越のサイトのように各ページのデザインに統一感がなかったり、ナビゲーションが共通でなかったりすることは、実際のデパートで、各階ごとに内装がまちまちだったり案内板の設置が不徹底だったりするのと同様に問題であると言えるでしょう。
▼ 取り組みが本格化するオンライン・ショッピング
また百貨店サイトには、従来の来店顧客に対する情報提供と、オンライン・ショッピングに代表される新しいサービスの提供という、2つの面があります。特に海外の大手百貨店サイトは、オンライン・ショッピングに対する取り組みが本格的で、品数も使い勝手も非常に充実しています。
Macy'sのサイトでは、トップページからオンライン・ショッピングを中心に据えたサイト構成になっています。品揃えもオンライン向けに使いやすく整理されており、"gift wizard"のページでは、利用者が必要とするギフトの条件を入力して行くだけで、最適な商品が見つけられるようになっています。
他にも
JCPenneyや
Nordstromのサイトでは、"gift registry"あるいは"Wish List"という「自分のほしいもの」を登録する機能があります。知り合いがこの情報を見て、ギフトを送る際の参考にするわけです。アメリカでは一般的なサービスですが、このようなユーザーサイドにたったきめ細やかなサービスを取り込んで展開しているところに、アメリカのオンラインサービスの先進性があります。商品陳列が煩雑で店員のサービスにも期待できない実際の店舗より、オンラインの方が快適にショッピング出来るのでは、と思わせる魅力が必要なのです。
ただし、その背景にはそれに見合った運用体制が必要なことは、言うまでもありません。
日本の大手百貨店も、そろってオンライン・ショッピングに取り組み始めています。しかしまだまだ使い勝手が悪く、各百貨店のイメージが出しきれていません。また、商品紹介から購入までの導線が不明確で、購入プロセスが非常に面倒に感じられるものが目立ちます。決済のシステムも含めて、基本的な運用体制の確立が急がれるべきでしょう。
▼ 日本の百貨店サイトに英文は必要か
ところで今回のリサーチで、国内の大手百貨店のウェブサイトには、英文サイトが一つもないことがわかりました。全国で約114万人、東京都だけでも約27万人の在日外国人を擁する国際都市で営業する百貨店は、彼らに向けての情報発信も考慮すべきではないでしょうか。
日本人にとっては過剰にありふれている百貨店情報も、日本語が理解できない外国人にとっては、ほとんど利用する機会がないのが実状です。最低限必要な営業情報をはじめとして、郷土展や伝統物産展など百貨店特有の催し物に関する情報も、英語版を提供することで、外国人にとっては興味深く、日本文化にふれる貴重な情報源となるでしょう。
さらに、彼らが定住者なのか、一定期間滞在する就業者なのか、一時的に滞在する観光客なのか、ターゲットの特性も見定めた情報提供が出来れば、潜在的な顧客の獲得にもつながるでしょう。百貨店には伝統民芸品もあれば、格下のスーパーよりも安い、食品のタイム・セールスもあります。情報の提供の仕方次第で、幅広い顧客を獲得する可能性があるはずです。
■百貨店ウェブサイトにみるオンライン・ショッピング
【アメリカ】
●JCPenny
http://www0.jcpenney.com
カジュアルで親しみやすく、品揃えも豊富。ナビゲーションが使いやすいので、希望の商品にもすぐ飛べる。
●Macy's
http://www.macys.com/index.html
トップからギフトを押し出している。衣類等が充実しているが、$700のダイヤまで購入可。大手百貨店としてのブランド力と落ち着きが感じられる。
● SAKS FIFTH AVENUE
http://www.saksfifthavenue.com/
ブランド物が多く、値段的に高めの商品構成。しかしサイトデザインが優れているため、ショーウィンドウを眺めているような感覚で楽しめる。
●ノードストロム
http://store.nordstrom.com/
Wish ListやGift Finderなど、利用客の使い勝手を考慮した仕組みが随所に見られる、機能的なサイト。
【イギリス】
● Harrods
http://www.harrods.com
独自の品揃えとサイトデザインで、細部までブランド感が徹底して表現されている。
【日本】
●三越
http://www.mitsukoshi.co.jp/
品揃えは日本の百貨店の中では充実している。しかしナビゲーションや検索機能が整備されていないため、実際には使いづらいサイト。
●伊勢丹
http://www.isetan.co.jp/
気に入った商品の写真を見つけても、必ずしもオンライン・ショッピングで購入できない。来店情報とオンライン情報の仕分けが必要か。
●西武百貨店
http://www.seibu.co.jp/
オンライン・ショッピング開始まで、手続きに2日かかるなど、実際に利用するまでの魅力に乏しい。
●大丸
http://www2.daimaru.co.jp/welcome.html
最近リニューアルがあり、本格的にオンライン・ショッピングを開始。商品の魅力にふれる前にまず手続きありき、という姿勢は、海外サイトとの大きな相違点である。
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