大学は非常に多様な要素から成り立っているため、その組織の特色や個性をウェブサイトで効果的にプレゼンテーションするのは容易なことではありません。大学では、インターネット利用の初期の段階から、研究者を中心に積極的にその機能を活用してきました。現在では、外部に向けて情報を発信しアピールするためにインターネットをどう活用するべきかについて、各大学が模索を始めています。海外に向けて的確に大学の情報や雰囲気を発信して行くには、どのような点がポイントとなるのでしょうか。
▼ “今”の顔が見えない日本の大学サイト
日本の大学サイトでは、学部情報は豊富であるにも関わらず、キャンパスの雰囲気、どのような学生や教授がいるのかなど、学校のありのままの姿を伝える情報が不足しているサイトが多いようです。写真も建物写真が中心です。古く立派であり、大学の伝統的なシンボルであるのはわかりますが、それでは、大学の“今”が伝わってきません。人物の写真はあっても記念写真的なものが多く、学内の生き生きとした雰囲気や魅力を伝えるものではありません。
海外の大学サイトには、学生の自然な姿を効果的に伝えているものが数多くあります。授業中の真剣な顔、イベントに参加している時の楽しそうな顔、他の学生と話している時のくつろいだ顔。在学中の学生がそのまま大学の顔となっており、大学が学生を非常に大切にしている、という印象を与えています。
▼ 情報の“質”も見せ方次第
日本の多くの大学の英文サイトからは、大学ごとの個性が見えてきません。情報の見せ方の工夫次第で、その大学の魅力を伝えることは出来るはずです。また、ナビゲーション機能の不親切さが見受けられるサイトも多くあります。掲載情報が非常に多いためアクセスしづらく、目的の情報に到達するのが困難なのです。ほとんどのそのような大学サイトでは、サーチ機能すら見あたりませんでした(今回レビューしたサイトの中でサーチ機能を設置しているのは慶応大学のみ)。また、英文コンテンツ内から日本語コンテンツにリンクしている、などの基本的な問題も多い様です(東京大学など)。
▼ 幅広い層にアピールする海外大学サイト
欧米の大学サイトを見ると、特にインタラクティブな機能が目を引きます。OxfordのVirtual Tourが良い例です。Oxford内の約70箇所の名所がパノラマ写真で収録されており、マウスを操るだけで、視点を移動しながら見学することが出来ます。しかも、毎週のようにデータが更新されているので、繰り返し訪れるリピーターも多いはずです。Stanfordの Online Tourでは、キャンパスとその近辺、550箇所、2400枚の写真を見ることが出来ます。
このような機能は、学業に興味も持つ人だけでなく、その土地や大学を訪れる人にとっても役立つはずです。例えば、演劇好きの人はOxfordのシェルドニアン劇場の写真を、スポーツ好きの人は、サッカーW杯の試合も行われたStanfordのスタジアムを興味深く見ることが出来るでしょう。大学の枠を超えた、より幅広い層のサイト訪問者を確保することも可能なのです。
▼ ますます進化するオンライン・サービス
今や入学願書もオンラインで受け付ける学校が増えています。 Carnegie Mellonでは、個人情報や入学願書に添付する小論文がオンライン上で入力出来ます。願書を取り寄せたり郵送したりする必要がないのですから、特に海外からの入学希望者にとっては大変便利なシステムです。
また、Web上で受講可能な「オンライン・ラーニング」の分野でも、各校が競って新しい取り組みを見せ始めています。中でもStanfordの取り組みは最も早く、Stanford Onlineと呼ばれるコースで、主にコン ピューター/エンジニア系の社会人のための授業を約30講座開講しています。ここでは、音声、映像、e-mailなどを活用したもう一つの大学の姿を見ることができます。
日本の多くの大学サイトでは、情報の見せ方、サービス内容など、未成熟な部分が多く見られるのが現状です。海外の大学サイトで見られるような、学外も視野に入れた幅広いターゲット設定とユーザーサイドに立ったサービス提供が、日本の大学サイトにも求められていることは間違いありません。
(By Ryoji Kubo / 2000.12.05)
■日英米主要大学ウェブサイト
【アメリカ】
●Harvard University
http://www.harvard.edu/
アメリカのサイトにしては地味。由緒ある大学があまり目立つことをしてはいけないのだろうか?
●Stanford University
http://www.stanford.edu/
整理されていて見やすいサイト。Stanford用スポーツ専門サイトもあり、しかもレベルが高い。スポーツの人気が高い大学ならではの充実したサイト。Distance LearningのDemoを見ることが出来る。
● Carnegie Mellon University
http://www.cmu.edu/
オンライン・ツアー、オンライン・願書受け付けなど、最新技術を積極的に利用しようという姿勢が表れている。電子ポストカードも送れる。全ての学校関係者用のポータル・サイトとして位置付けられている。
【イギリス】
● Oxford University
http://www.ox.ac.uk/
使いやすいサイトに仕上がっている。画像やVirtual Tourなどの機能が効果的。英国特有のカレッジ制のため、各カレッジがウェブサイトを持っている。
● Cambridge University
http://www.cam.ac.uk/
これといって特色の無いサイト。画像も少なく、面白みはない。Oxfordと同様、各カレッジがウェブサイトを持っている。
【日本】
●東京大学
http://www.u-tokyo.ac.jp/
Topページが英語であるにもかかわらず、英文ページに実用的なものが少ない。英文ページから日本語ページにリンクしている箇所も多い。
●慶応大学
http://www.keio.ac.jp/
今回レビューした日本の大学サイトでは唯一、サーチ機能がついている。ナビゲーションも分かりやすい。ただし、リンク先ページが英文化されていない箇所もある。
●上智大学
http://www.sophia.ac.jp/
外国人に人気がある大学も、サイトの出来はもう一つ。情報はほぼ全てが学校案内。画像は多いが、印象が暗い。 イベント情報等、英文サイト には反映されていない。
●青山学院大学
http://www.aoyama.ac.jp/
ほとんどは各学部の情報となっている。その中で、International Exchange Centerのページは実用的。更新も月一回は行われている模様。
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