ではその英文Webサイトの現状はどうでしょうか。WebWorksでは2000年と2001年の2回にわたり日本企業の英文Webサイトの実態調査 を実施しました。その結果わかったことは、日本発の英文Webサイトの実態はじつに惨憺たるものだということでした。以下、その問題の一部をご紹介します。
1) 英文のクオリティが低い
2000年、2001年の調査を通じて、なんと8割を越える日本企業英文Webサイトに英文編集ミスが見つかりました。これはたいへんに深刻な数字といえます。一部の企業を除いて大多数の日本企業サイトの英語は、そのクオリティがきわめて低いといわざるをえません。
「日本人の英語なのだから、いいたいことが通じればよいのであって、英語のクオリティなど気にすることはない」という意見もあります。しかし公式の企業サイトに用いられる英語に関しては、残念ながらこの意見は間違いです。なぜなら英米人のみならず他国の人々にとっても、クオリティの低い英語を使った企業ウェブサイトは企業そのものへの信頼度をも損ねてしまうからです。言葉とは思想の入れ物であると同時に、それ自体が独自の価値をもつものです。したがって企業英文Webサイトに用いられる英語はミスがなくかつクオリティの高いものでなければなりません。それが企業の価値そのものを高めることになるからです。
2) 文字化けなど基本的なミスが見つかる
エンコーティングを英文環境にすると全角(2バイト)文字が化け文字になることはすでにご存知ですね。したがって英文Webサイトを構築する際には、エンコーディングのデフォルトを英語にすると同時に、全コンテンツに全角文字がひとつも混ざらないようにしなければなりません(全角スペースも含めて)。さもないと海外ユーザーは化け文字だらけのサイトをみることになります。
ところが多くの日本企業の英文Webサイトでは、この基本的なミスの処理さえ、いまだにちゃんと行われていません。WebWorksの調査では、2000年に約45%、2001年に約30%のサイトに化け文字が発見されました。新しく構築されたサイトではずいぶんと化け文字が少なくなってきましたが、それでもまだ既存英文Webサイトの3割に化け文字が存在します。これは日本のサイト構築者にとって恥ずかしいことです。化け文字はちょっとした注意で簡単になくすことができます。この数字をできるだけゼロに近づけたいものですね。
3) アップデートがしっかりと行われていない
アップデートのされないサイトなんて、まるで気の抜けたサイダーのようなものです(表現が古いですね)。ところが2000年、2001年調査において約7割の企業が1カ月以上にわたり英文Webサイトのアップデートを行っていないことが判明しました。ようするに、多くの企業の英文Webサイトが「つくりっぱなし」状態にあるのです。これではいけません。
ではどうすれば、英文Webサイトを恒常的にアップデートできるようになるのでしょうか。それにはまず専門家を含む英文Webサイト運営チームを設置する必要があります。そのうえで「英文Webサイト運営ポリシー」を策定し、「サイト運営マニュアル」を作成したうえで、それにあわせた継続的なサイト運営を実施していくのです。この「サイト運営ポリシー」「サイト運営マニュアル」の作成は、日本語サイトでも意外と行われていないようですね。
こうしたシステムを整えることにより、サイト運営にかかる経営資源(スタッフ、コスト)を最小限に抑えることができます。現状はこうした体制づくりができていないために、貴重な経営資源が非効率に費やされているといえます。英文Webサイト運営の話になると往々にして「日本語サイトが先だから」「割り当てる予算がないから」ということになりがちですが、やり方によっては最小限の予算で充分に英文Webサイト運営は可能です。ようするに、知識と経験に基づいた、ちょっとした工夫の積み重ねがポイントです。
4) コンタクト先が簡単に見つからない
2000年から2001年にかけて英語トップページにコンタクト先を掲載する企業の数は、驚いたことに大幅に減ってきています。大企業だけをみても4割足らずの企業しか英語トップページからのコンタクトができません。顧客との緊密なコミュニケーションの必要性が叫ばれているときに、これは一体なぜなのでしょうか。
理由としては、最近になってオンラインセキュリティ確保の難しさ、激増するジャンクメールへの対応など、サイト運営にかかわる深刻な問題が顕在化してきたことが挙げられます。こうした問題が顕在化したにもかかわらず、英文Webサイトについては各企業がその運営管理体制をしっかりと整えられないために、海外ユーザーとのダイレクトコンタクトを避け始めたとも考えられます。WebWorksの調査によると、英文Webサイトに対して専属スタッフを配置している企業はほぼ皆無でした。一般的には、広報部などのウェブサイト担当者が日本語サイト運営の片手間に英文Webサイトの面倒をみているというのが実情なのです。これでは英文Webサイトに対して「さわらぬ神にたたりなし」といったスタンスになるのも無理からぬことです。
しかしこのことは同時に、日本企業の多くが海外潜在ビューアーとの対話の機会をみずから放棄したのだともいえます。ちなみに2001年に調査した米国「Fortune500」企業のトップ100企業のうちトップページから直接コンタクトのとれない企業はたった2社だけでした。そして米国企業のほとんどがダイレクトのeメールアドレスなどを用いずにフォームなどを利用してセキュリティの確保やジャンクメールへの対応を行っています。ここからも、ちょっとした工夫によって大きな成果が達成できることがよくわかります。
まとめ:日本発英文Webサイトの問題点
- 英文のクオリティが低い
- 化け文字など基本的なミスが見つかる
- アップデートがしっかりと行われていない
- コンタクト先が簡単に見つからない