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Dr. KUBOのウェブサイト診断

「FTD.COM」生花小売業のイーコマース・サイト

FTD(Floral Transworld Delivery)は1910年にアメリカで発足した、世界で最初のフラワー・デリバリー・ネットワークです。各地の店舗を結んだネットワークを構築することにより、それまで不可能だった新鮮な生花の広範囲なデリバリーが可能となりました。世界中に約14,000店の加盟店があり、世界各地に花やギフトが届けられます。日本にも、もちろんFTD加盟店は存在しており、お花屋さんのウィンドー等にFTD加盟店の印のシールを目にすることがあると思います。現在では、アメリカ内の人口のほぼ100%がカバーされており、一年に約1,500万件の注文がネットワーク間で処理されています。
このネットワークを使った販売会社がFTD.COMです。ウェブサイトや電話から直接、花とギフトの注文を受け、それらを各地の加盟店が商品の手配をし、デリバリーすると言う仕組みです。限られた商品数になってしまいますが、サイトは、海外デリバリーにも対応しております。

▼ いたって普通のサイトだが・・・

サイトにアクセスしますと、特に目立つわけでも無い、いたって普通のショッピング・サイトが出てきます。この普通のサイトが、現在好調に業績を伸ばしているのは、なぜなのでしょうか?FTD.COMは1994年に設立され、1999年にアメリカNASDAQに上場し、2001年末には5四半期連続しての黒字化に成功しています。2001年度には、売上約1億3,000万ドルを記録し、実益850万ドルを残すことに成功しました(電話注文含む)。 大手ライバル・サイトの1800FLOWERS.COMは、売上規模でこそ上回るものの、未だ黒字化に至っていません。2001年度は売上こそ4億4,200万ドルとFTD.COMを上回りましたが、約4,100万ドルの赤字となってしまいました(電話注文含む)。FTD.COMと1800FLOWERS.COMでは、何が違うのでしょうか?

▼ 電話からウェブへ

FTD.COMは、サイト立ち上げ前まで主流であった電話注文を、上手くウェブへ転換することに成功しました。今まで電話注文していた顧客も段々とウェブから注文するようになり、現在ではウェブからの注文が全体売上の88%にも達しています。一方1800FLOWERS.COMは未だに、電話注文の比率が大きく、ウェブからの注文が全体売上の41%に止まっております。

▼ “花”があってこそのFTD

FTD.COMは立ち上げより既存のFTD加盟店やインフラを利用することが可能でした。サイトを使った販売受付は新しかったものの、それ以外は以前のビジネスモデルと変わる点は、ほとんどありません。既存のネットワークを有効に利用し、着実にビジネスをしていくことが、FTD.COMの方針です。若干30歳のCEOソーネン氏は、他のドット・コム企業をまねることは無く、事業を広げることには慎重でした。(その頃、多くのドット・コム企業は収益性を考えず、事業を拡大することを最重要課題としていました。)そのためシェアこそ、1800FLOWERS.COMに次いで二位となっておりますが、収益性を考えるとFTD.COMの方が成功を収めた、と言えるでしょう。

1800FLOWER.COMも多くのドット・コム企業の例に漏れず、事業の拡大路線を進めて行き、生花以外のギフト商品や新商品を使い売上やシェア伸ばすことに力を注ぎました。現在では売上のおよそ50%が、生花では無い、ギフト商品から成り立っています。逆にFTD.COMでは生花に特化しました。ギフト商品も揃えてはおりますが、売上の10%程度にしかすぎません。そのため売上規模やシェアを比べると、1800FLOWERS.COMが遥かにFTD.COMを上回りますが、収益を見ると、FTD.COMに軍配が上がります。

現在、ソーネン氏は事業の成長と拡大のために投資しなくてはならないと気付いています。ギフト商品の拡充にも関心を寄せているようですが、収益性を無視してまで、拡大をしようとは思っていないようです。“花”があってこそのFTDであり、“花”の販売で収益を上げていることには、満足しているようです。

▼ 過度なテクノロジーはいらない

冒頭でも触れましたが、サイト自体の見た目はいたって普通です。しかし考えてみると、ウェブ以前は電話で注文するお客様が多かった業界です。カタログ等はありますが、注文時に何も見ずに注文するお客様も多かったことだと思います。電話越しで“バラを入れて適当に見繕ってください”と言う注文が成り立っていた業界なのです。ウェブになると画像でも見られるようになり、今までは思いもつかなかったようなブーケや観葉植物等の注文も、よりしややすくなっています(電話越しで店員さんにブーケ等の説明をされても、時にはどんなブーケが送られるのかわからず注文することもあったでしょう。)。

またFTD.COMのサイトでは、最新のテクノロジーはあえて排除されています。この点でも、ソーネン氏の方針で開発費用を極力抑える戦略が取られました。特に目立ったところはなく、アニメーションのような画像もありません。分りやすくさえあれば、それで充分と言うのがサイトの方向性です。最新のテクノロジーを使って、ユーザの目を引いても結局使いにくかったり時間が掛かったりしたのでは、売上に結びつきません。また“花”自体も、最先端の技術を連想させるものでは無いので、使う側も“普通”のサイトで満足しているのが現状です。

▼ バックエンドの充実

また重要となってくるのがサイトのバックエンドです。サイトの機能性やデザインは当然のことですが、商品手配、配送、品質、サービス等が顧客満足度と結びつきます。お客様がサイト自体に満足していても、それをサポートする運営が整備されていなければ、自ずと印象は悪くなります。ギフト用に注文した花が乱暴な店員に運ばれて、悪印象を与えては絶対になりません。またお届け日や時間等にミスがあっても、信用を損ねることになるでしょう。その点、既存のネットワークがそのまま使えることは非常に大きいメリットとなっています。

▼ 高いブランドイメージ

お客様がFTD.COMで購入する理由がもう一つあります。それは高いブランドイメージです。アメリカに住んでいる大抵の人は、FTDのロゴを見れば何のお店なのかはわかることでしょう。それだけFTDのロゴは、浸透しており、それだけで信頼性と品質保証の役割をしているように思えます。あのFTDが運営しているサイトなら、間違い無いとユーザの方は思うでしょう。サイトの商品画像等が多少見にくいことがあっても、ユーザが商品の質に不安を抱くことは、特に無いと思われます。それは多くの顧客がFTD加盟店を毎日のように目にしているからです。これがクリック&モルタルの絶対的な強みと言えるでしょう。

▼ 「地道なサービスの向上」こそが勝因

FTD.COMの次の戦略は?もちろん競合サイトのように商品を拡大していくのも一つです。しかし、FTD.COMの直近の目標は日曜配達を全ての地域で可能にすることです。ライバル・サイトでは日曜配達をしている地域もありますが全地域には及んでいません。FTD.COMでは全地域での日曜配達を可能にするため、各地域の加盟店に呼び掛けています。簡単に聞こえるかも知れないですが、こういった得意分野においての地道なサービスの向上が、より多くのお客様を引き付ける、要因なのではないでしょうか。

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